『Metro 2039』は戦時下の開発経験を物語に反映し戦争の代償を描く
2026年08月26日 | #ゲーム | Eurogamer
ロシアによるウクライナ侵攻の中で開発が続く『Metro 2039』は、戦争を防ぐ物語から、戦争がもたらす結果を正面から描く作品へと方向性を変えています。4A Gamesによれば、開発環境そのものがゲームのテーマや物語の構成に大きな影響を与えました。
戦争を「防ぐ」物語から、その結果を描く物語へ
4A Gamesのエグゼクティブプロデューサー、Jon Bloch氏は、過去作が「人間はどうすれば戦争の連鎖を止められるのか」を主題としていたのに対し、ロシアの全面侵攻によって戦争がチームの身近な現実になったと説明しています。チームは停電やドローン攻撃への避難、家族と会えるかどうかといった問題に直面しながら、ウクライナを主な開発拠点として制作を続けています。
Bloch氏によると、過去作では善悪を簡単に決められない「グレーな倫理観」が重視されていました。しかし本作では、権威主義体制が勢力を拡大した先に何が起こるのかを描くため、そうした善悪の線引きはより明確になります。「権威主義体制が人々を支配し、権力を広げていくことに良い面はない」と考え、物語の表現も具体的で明確なものへ変えたとのことです。
新主人公と全体主義体制「Novoreich」
本作では、シリーズで初めて声を持つ主人公としてThe Strangerが登場します。The Strangerは、モスクワ地下のメトロトンネルへ戻り、新たな脅威に立ち向かう人物です。開発チームは、彼の選択や行動、その結果、そして未来を確保するために支払う代償を通じて、過酷な世界での人間の立場を描こうとしています。
地下社会では、かつて対立していた住民たちが争いを収め、Novoreichという統一された全体主義体制を形成しています。体制を率いるのは、シリーズ第1作や原作小説にも登場したHunterです。彼はメトロの生存者たちに地上での新たな生活を約束しますが、その野望を阻む存在を容認しません。
現実との距離が近づいたシリーズ
4A Gamesの共同クリエイティブディレクター兼リードオーディオデザイナー、Pawel Ulmer氏は、戦争の予防を考える段階をすでに過ぎてしまった現実を踏まえ、物語の力で戦争が実際に何をもたらすのかを示したいと話しています。Ulmer氏は、シリーズがもともと戦争崇拝やプロパガンダ、人命、他者の野望が生む代償を扱ってきたとしたうえで、「作品の性質が現実に近づきすぎたことが不快な部分だ」と語りました。
同氏によれば、チームはドローン攻撃など現実の問題に対応しながら制作を続けています。そこで生まれた怒りや否定的な感情も、作品に反映されているとのことです。原文筆者は約2時間のプレイを通じ、軍事物資を組み合わせた住居で暮らす家族や、危険な世界で支え合う人々の描写を確認したとしています。閉塞感と脅威に満ちた地下世界は、過去作以上に緊張感のあるものになっているようです。