『Metro 2039』開発陣、ウクライナ侵攻を受け戦争を描く物語を転換
ウクライナのゲーム開発会社4A Gamesが手がけるFPS続編『Metro 2039』では、ロシアによる2022年のウクライナ全面侵攻を受け、物語の軸が大きく見直されています。これまでのシリーズが「戦争を防ぐこと」を描いていたのに対し、本作では「戦争が身近に起きた後の consequences(結果)」に焦点を移したとのことです。開発陣は、現実の変化がチームの考え方やゲーム全体に直接影響したと説明しています。
戦争を防ぐ物語から、戦争の結果を描く物語へ
エグゼクティブプロデューサーのJon Bloch氏によると、侵攻によって戦争が開発チームの身近な現実となり、当初予定していた物語へのアプローチを変更する必要が生じました。これまでの計画をできる限り残そうとしたものの、「かなり多くの計画が一夜にして変わった」としています。
クリエイティブディレクターのAndriy “MLS” Shevchenko氏は、変化したのはストーリーやゲームプレイだけではなく、チームそのものだと説明しています。世界の変化によってメンバーの存在のあり方や考え方、状況の理解が変わり、その結果として新しいビジョンや哲学がゲームに反映されたとのことです。
共同クリエイティブディレクター兼オーディオリードのPavel Ulmer氏も、Metroシリーズの性質そのものが現実に近づきすぎたことで、作品に対する受け止め方が「侵攻前」と「侵攻後」で大きく分かれたと語っています。
世界の密度を高めるため、描画基盤を刷新
過去作から引き継いだ教訓として、Shevchenko氏は「空っぽの空間を作らないこと」を挙げました。Bloch氏も、オブジェクトや音、アニメーション、キャラクター、ディテールなど、あらゆる要素の密度を高めることが現在の大きな目標だとしています。
そのために、レンダリングシステムは完全なレイトレーシングに対応する形でゼロから再構築されました。現実的な映像表現に加え、より多くのアセットや動的な要素を世界に配置し、デザイナーやアーティストの自由度を高めることが狙いです。一方で、全プラットフォームで動作させるためのパフォーマンスも重視しており、表現力の向上と性能の両立を目指しています。
Ulmer氏は、カットシーンが用意された場所だけを印象的にするのではなく、すべてのエリアを自然で説得力のある空間として作り込むことが目標だと説明しています。
初めて遊ぶ人には探索と धीいペースを推奨
シリーズ未経験者に向けて、Shevchenko氏は恐れずに探索するよう呼びかけています。Ulmer氏も急いで進めないことを勧め、Bloch氏はMetroについて「速いペースで進む作品ではなく、座って物語や雰囲気を吸収するもの」と説明しました。
また、スプリントは本当に必要な場面に限って使うよう案内しています。敵から逃げる場面では走る必要がありますが、それ以外では音や環境、物語を味わう時間を取ることが重要だとしています。開発陣は、物語を終わらせることだけを目的に進めるのではなく、映画を見るように時間をかけて楽しんでほしいと伝えています。