『The Witcher 3 Remastered』はスキルシステムの刷新でキャラクター育成の満足感が向上
2026年10月03日 | #レビュー | GamesRadar+
『The Witcher 3 Remastered』は、名作RPGの魅力をそのままに、遊ぶたびに気になっていた不便さを丁寧に取り除いた優れたリマスターです。映像の進化に加え、スキルシステムやメニュー、移動など幅広い改善が、冒険をより快適で充実したものにしています。PC版には動作の重さが残り、一部のキャラクターの見た目にも違和感がありますが、ゲラルトの旅を再び体験する方法として、大いに魅力的な仕上がりです。
変わらない物語の力と、再訪する価値
今回の評価対象は、発売元から提供されたレビュー用コードでプレイしたPC版です。開発はCD Projekt Red、発売元はCD Projektで、2026年9月29日にPC、PS5、Xbox Series X、Switch 2向けに発売されました。
筆者は原作の発売当時に約300時間を費やし、その後も含めると過去10年で約600時間をプレイしています。当時、友人がおらず、仕事や生活の苦しさを抱えていた筆者にとって、自分で選んだわけではない道を歩みながらも、できる限り前向きに生きようとするゲラルトの姿は、深く響くものでした。
年月を経て戻ってみると、物語への評価はさらに高まりました。2015年当時から際立っていた脚本は、10年以上が過ぎても匹敵する作品が少ないと感じられます。善悪を簡単には割り切れない選択、全体の物語に自然につながるサイドクエスト、父親として成長していくゲラルトの姿は、今も強い感情を呼び起こします。
このリマスターには、2つの拡張コンテンツも収録されています。後悔と贖罪を掘り下げるHearts of Stone、穏やかな暮らしへの憧れを描くBlood and Wineは、どちらもゲラルトの新たな一面を映し出す優れた物語です。
新作のように生まれ変わったわけではありません。大きな魅力も、多少の粗さも含めて、基本的な体験は同じです。ただ、その雑然とした世界こそが、この作品に生きた場所としての説得力を与えています。今回はそれを保ちながら、多くの欠点を目立たなくし、中には完全に取り除いたものもあります。変更の広さと丁寧さは、Cyberpunk 2077のアップデート2.0を思わせます。どちらも、見た目だけでなく遊びの仕組みまで見直した更新です。
光と風景は美しく、動作には課題が残る
最も分かりやすい変化は、グラフィック全体の刷新です。特にライティングに力が入っており、風景の魅力が一段と引き立っています。イタリアのリヴィエラ地方を思わせるトゥサンの野原は日差しの中で輝き、ヴェレンの沼地からは、まとわりつくような湿気まで感じられそうです。髪の物理表現も調整され、キャラクターの動きはさらに滑らかになりました。
写実性と様式美を組み合わせた独特の画風は、おおむね強化されています。ただし、一部のキャラクターは、映像が精細になったことでかえって不自然に見える場面があります。
また、この映像の進化には、新たな動作上の問題も伴っているようです。筆者がプレイしたPC版では、画面内の動きが多い場面や一部の戦闘で、ときどき速度低下が発生しました。CD Projekt Redはすでに動作改善に取り組むと表明していますが、今回のプレイでは気になる点として残っています。
戦闘にも細かな演出の追加があります。印を使う際のエフェクト、敵へのとどめの動作、待機中の仕草などが増えました。意識して見なければ気づかない程度の変化も多いものの、長く遊ぶ中で動きの幅を感じさせてくれます。
育成の手応えを変えたスキルシステム
映像以上に大きな改善が見られるのは、ゲームの仕組みです。中でも筆者が最も楽しめたのが、スキルシステムの刷新でした。
原作のスキルシステムは、率直に言えば整理が行き届いていませんでした。選択肢を格子状に並べた画面は、今回はスキルツリーらしい構成に変更されています。見た目から成長の流れをつかみやすくなり、次に何を目指すかも考えやすくなりました。
変更は画面構成だけではありません。スキルのボーナス値や、特定のスキル同士の相乗効果なども調整されています。細かな違いをひとつずつ説明するのは難しいものの、数十時間をプレイした筆者は、育成の満足感が確実に増したと評価しています。
剣術を極めるのか、爆弾や霊薬を駆使するのか。目指す戦い方に合わせたスキル構成を作りやすくなり、自分が望むウィッチャー像へ細かく調整する楽しさが強まりました。整理された仕組みは、さまざまな組み合わせを試す意欲にもつながっています。
戦闘は迫力を増し、情報にも触れやすく
戦闘では、ゲラルトに近い位置から追従する新しい「モダン」カメラが追加されました。敵の行動にも小さな調整が入り、戦いは以前より変化に富み、手応えを感じられるものになっています。
これだけで、戦闘が歴代最高クラスになるわけではありません。それでも、新しいカメラは特に好印象です。視点が少し近づくだけで、距離を置いて戦術を組み立てる感覚よりも、重い一撃を交わす乱闘の迫力が前に出ます。その変化は、作品の雰囲気にもよく合っています。
もうひとつ、筆者が気に入ったのがメニューの刷新です。構成が簡潔になり、目的の項目へ移動しやすくなりました。とりわけ、人物紹介や書物などを読むための情報閲覧画面は、以前の煩雑さが大きく減っています。大量の項目をかき分ける負担が軽くなったことで、こうした文章を読むこと自体も楽しめるようになりました。
小さな不満を取り除き、冒険を磨く
数ある変更の中でも、筆者にとって象徴的なのは、愛馬ローチが木に引っかからなくなったことです。原作では、騎乗中に木のそばを通るたびに動きが止まることが、大きな不満でした。変更点の一覧では地味に見えても、実際の冒険では繰り返し感じていた苛立ちをひとつ消してくれます。
ほかにも、よじ登る動作の扱いにくさが減り、一部のクエストでは目的を追いやすくなっています。ウィッチャーの感覚は使う際の分かりやすさが増し、戦闘から逃げることも容易になりました。
こうした改善の多くは、初めて遊ぶ人には意識されないかもしれません。しかし、原作を長く遊んだ筆者には、違いがはっきりと感じられます。昨年には次世代機向けのアップデートも受けた作品ですが、今回も全体の体験を保ちつつ、見た目と操作感の両方を幅広く磨いています。
過去の作品を見直し、最初の発売時には解消できなかった不満まで掘り下げて改善する機会は、決して多くありません。長い年月と膨大な労力を注いで作られたゲームに、こうした再調整の機会がもっと与えられてほしいと感じさせます。
動作上の問題や一部の見た目の違和感は残ります。それでも、物語の強さを損なわず、育成の楽しさと日々の遊びやすさを高めた今回のリマスターは、再びゲラルトの旅へ戻りたい人にとって魅力的です。この壮大なRPGは、これまでで最も良い状態に仕上がっています。