『GTA 6』のトレーラーは、シリーズ最高のDLCと評される『The Ballad of Gay Tony』の華やかさと過剰さを受け継いでいる
2026年10月17日 | #ゲーム紹介 | Polygon
『GTA 6』を一言で表すなら「セクシー」だと、Polygonは評しています。初公開のトレーラー以来、本作は強化されたVice Cityの描写や、2人の主人公の関係性が物語を動かす点など、Rockstar Gamesのこれまでの作品から大きく方向を変えたように見えます。公式映像は4本の主要トレーラーで合計約30分にのぼります。そこからは、クラブライフ、度を越した強盗、パステルピンク、轟音を立てる高級スポーツカー、『GTA 5』以上に派手なアクション場面が本作の特徴だと読み取れます。同誌は、Rockstarの集大成になりつつあるとしています。
ただ、こうした要素は『GTA 6』だけのものではありません。トレーラーを見ると、同じ過剰さを楽しんでいた『GTA 4』のDLC『The Ballad of Gay Tony』が思い出されるといいます。
『GTA 4』を華やかに塗り替えたGay Tony
2009年に『GTA 4』の2本目で最後のDLCとして配信された『The Ballad of Gay Tony』は、本編の薄汚れた街と傷ついた倫理観に代わって、より派手なLiberty Cityを描きました。舞台の中心は、轟くナイトクラブ、シャンパンが飛び交うパーティー、高級車です。任務が進むごとに、犯罪の騒動はさらに馬鹿馬鹿しくなっていきます。
プレイヤーが操作するのは、ナイトクラブの支配人Luis Lopezです。Luisは、Liberty CityのクラブMaisonette 9とHerculesを手がける華やかな興行師Anthony “Gay Tony” Princeの右腕として、長く仕えてきました。Tonyの借金が膨らんで夜の事業が崩れかけるなか、Luisは上司への忠誠、危険さを増す犯罪関係者、そして守ろうとしている生活そのものの誘惑の間で板挟みになります。
Polygonは、この状況がJasonとLuciaの置かれた立場と驚くほど似ていると指摘します。2人の犯罪への野心は、制御できない渦へ彼らを引き込もうとしています。Luisが守るのはTonyの華美な世界ですが、『GTA 6』は、ともに人生を築こうとする恋人同士が、ますます危険な手段に頼っていく物語に見えるといいます。どちらも、犯罪的な過剰さがもたらす魅力と、それを追う者に避けられない危険を土台にしています。
夜の街、音楽、車に見える共通点
類似点は主人公だけではありません。『The Ballad of Gay Tony』は、ナイトライフと音楽を体験の中心に据え、Luisをベルベットロープの向こう側にある犯罪の世界へ送り込むミッションを用意しました。『GTA 6』も、華やかさと汚れがぶつかり合う世界をオープンワールド全体で作ろうとしているようです。ネオンに染まるクラブやビーチでの宴に加えて、ナイトクラブオーナーのBoobie Ikeのような富裕な成り上がり者や、ラップデュオのReal Dimezのような新進のインフルエンサーが登場します。筆者は、新しくなったMalibu Clubで待ち合わせるのが楽しみだと書いています。
車にも共通点があります。Vice Cityを走る高級セダンやスポーツカーは、Tonyの世界から抜け出してきたかのようです。Netflixで公開された長めのトレーラーに映ったSchafter(Mercedes-Benzに似た車)は、Tony本人と結びついた車を思わせます。筆者は、小さな要素ながら、数多くの視覚的な共通点のなかでは特に目立つと述べています。
派手なミッションと高揚感の系譜
Gay Tonyのミッションは、銃撃戦、高速カーチェイス、ヘリコプターの追跡、手の込んだ見せ場へと次々にエスカレートしました。『GTA 4』の現実的な犯罪ドラマが、それに比べると素朴に思えるほどです。筆者が好きなミッションの一つが「For the Man Who Has Everything」です。オートマチックショットガンと爆発弾を手に列車の屋根を跳び渡り、白昼のLiberty Cityで地下鉄車両を線路から吊り上げます。
「Sexy Time」も印象的です。LuisはスーパーヨットからBuzzard攻撃ヘリを奪い、そのミサイルで船を粉々にします。筆者は、この場面は展開を変えずに『GTA 6』へそのまま入れられると述べています。こうしたDLCのミッションは、のちに『GTA Online』の中心にある、ハイテンションで荒唐無稽な路線へ発展したとも書かれています。
『GTA 6』の映像も、ハイコンセプトなアクション映画のような見せ場が中心です。改造ピックアップトラックが銀行の金庫を引きずってVice Cityの道を走る場面は『Fast Five』そのままの雰囲気です。ほかには、逃走車から身を乗り出したLuciaが回転式グレネードランチャーの弾を撃ち出す、パトカーとの激しい追跡劇もあります。筆者は、2009年の『The Ballad of Gay Tony』に劣らず爆発的に見えると述べています。
プレイ映像に映るホットピンクのミッションマーカーも、Gay Tonyの視覚的な遺伝子を受け継いだものだといいます。ネオンのクラブ、日差しに焼けたパステルカラー、抑えのない過剰さというLeonidaの特徴とつながる、派手な美的要素です。筆者は、これらは偶然の飾りではなく、Rockstarが15年以上前に完成させた思想の痕跡であり、いまは広大な1つの州を支配するためによみがえったと見ています。
Vice Cityが似合う「セクシー」な路線
筆者は、『The Ballad of Gay Tony』を、『GTA 4』の中に隠れたVice Cityの拡張のようだと振り返ります。本編や『The Lost and Damned』の陰鬱な空気とは対照的でした。点滅する光のダンスフロア、パステルの退廃、豪華な気取り、洗練された華やかさがそろったことで、Gay Tonyにはセクシーという決定的な個性が生まれたといいます。
スケールの大きな登場人物たちも、Leonidaの放蕩によく合います。Luis、Tony、金に執着するYusuf Amirのような人気キャラクターが『GTA 6』に戻ってくる可能性は魅力的だと筆者は述べます。Rockstarが既存のキャラクターを再登場させる予定があるかは分かっていません。それでも、視覚面とゲームシステムの両面で、つながりはすでにあらゆる部分に織り込まれているとしています。
『The Ballad of Gay Tony』は、『Grand Theft Auto』が自らの馬鹿馬鹿しさを謝るのをやめ、その勢いを楽しんだときの姿を見せたと筆者は書いています。トレーラーが示すように、『GTA 6』がその悪びれないセクシーさをシリーズに取り戻すつもりなら、Vice Cityほどふさわしい舞台はないと結んでいます。