『Star Wars Zero Company』レビュー、XCOM系の名手が手掛けた3アクション制の戦術RPGは粗さを抱えつつも愛さずにいられない一作
2026年10月19日 | #レビュー | Eurogamer
ターン制タクティクスというもともと完成度の高いジャンルが、クローン戦争後期のStar Warsという舞台と見事にかみ合った作品です。Eurogamerのレビューは『Star Wars Zero Company』を、誠実で心のこもった、賢く、しかし少し継ぎはぎ感のある逸品と評価しています。最大の理由は、XCOMの流れをくむ戦闘システムに加えられた改良が、緊張感と判断の幅を広げている点です。スコアは原文に示されていません。なお、レビューはEAから提供されたコピーに基づいています。
開発の事情がにじむ、完璧ではない作り
評者が指摘するのは、本作の主人公たちと開発元Bit Reactorの境遇の重なりです。資金に乏しく、状況の変化に裏切られながらも、何とか仕事をやり遂げようとするZero Companyの面々は、発売前に約1か月の一時帰休を経験した開発陣と似ています。そのため本作には、ところどころ継ぎはぎで準備不足な部分が見られるといいます。評者は、半端な修理のまま飛び立つ宇宙船に例えています。
指摘したい細かな不満は、このレビューより長いリストになるほどだとのことです。それでも評者は、愛情が詰まった作品だと述べています。感傷的すぎるキャラクターや、息づかいの多い台詞回しが少し甘くなりすぎる場面もありますが、遊んでいて開発の様子が感じられるゲームには昔から弱いと語ります。Firaxis出身者が多いBit Reactorのタクティクスの経験者たちが、じっくり考え抜いて設計した跡が見えるという見方です。
初心者向けの難易度が題材に合っている
標準難易度は易しめで、ターン制タクティクスの初心者に合わせてあります。評者はこれが題材とよく合っていると見ています。舞台はEpisode 3とほぼ並行する時期で、子ども向けTVシリーズの印象が強い時代であると同時に、革命や連帯、ファシズム下の凡庸な悪を描いた『Andor』の時代でもあります。本作は気軽な娯楽と時代にふさわしい内省という、相反しそうな2つの要素を結び付けようとし、評者はそれを「かなりうまくやっている」としています。
鉄人モードのような高難度も用意されています。それでもこのジャンルでは珍しく、爽快さと気楽さを優先した作りで、評者は初めてこの種のゲームを冒険活劇として楽しめたと語ります。善玉として遊び、最後には必ず勝つという感覚があります。
物語は粗削りだが誠実
XCOMのように繰り返し遊ぶ前提で物語が薄いのではなく、本作には始まりから終わりまで通した物語があります。ただ、『Andor』に並ぶ水準ではなく、テーマの伝え方は大づかみでやや不器用だと評者は述べます。
具体的には、キャラクターの背景が短い台詞に詰め込まれがちです。しかも、特定の場面で特定のNPCに話しかけなければ聞けないことがあります。逆に、何度も話しかけると似た内容を繰り返し聞くことにもなります。台詞の息づかいが多すぎる演技も気になるとされ、鉱山王の裕福な二世でありながら善行を志すJaeが特に挙げられています。
一方で、評者はテーマが存在し、しっかり理解され、真摯に描かれている点を評価します。仲間たちの物語が、劣勢からの冒険活劇、クローン戦争のアクション・メロドラマ、そしてより大きな主題へと移り変わる展開は見事だといいます。ただし、その終盤の部分にもう少し時間があれば、と惜しんでいます。
3アクション制がもたらす新しい緊張感
戦闘面でXCOMファンに向けた最大の変更は、2アクション制の廃止です。本作では3アクションを使えます。評者は単なる行動数の水増しではないと見ています。行動によって消費が1、2、または残り全部と異なるため、誰が先に、誰を撃つかがこれまで以上に重要になるからです。
例として、元共和国兵のTrickが持つ連射ブラスターが挙がっています。これは残りの行動ポイントをすべて消費し、残っているほど威力が高くなります。1ターンに撃てる敵は1体だけですが、動かなければ大きなダメージを与えられます。動けば最大移動距離の3分の2まで進んでも、少しダメージを与えられます。強敵に大ダメージを与える役にも、一撃で倒せるバトルドロイドを掃除する役にもなれるため、1回の戦闘で両方をこなすこともできます。
キャラクターごとの能力が連携を生む
各キャラクターのパッシブとアクティブの能力、アイテムが加わると、戦術はさらに洗練されます。評者は自分で自由に作れる主人公Hawkesを狙撃手にしました。行動ポイント1を使って精度や致命傷の確率を高め、残る2で狙撃銃を撃ちますが、動いたり押しのけられたりすると強化は消えます。名前付きの仲間には、味方に行動ポイントを1つ渡す能力のような固有の要素もあります。
アクティブ能力にはAdvantageという資源が必要です。敵に攻撃を当てると最大10まで溜まります。高難度や厳しい戦闘では、この資源が足りない場合に別の行動をとるか、他のキャラクターで攻撃を当てて溜めてから本来の作戦を実行するかという計画の一部になります。
組み合わせの面白さも評価されています。Cly Kullervoはジェットパックや、重ねてから一斉に爆発させる電気ダーツといった低コストの能力を持ち、拳銃は3回撃てるためAdvantageを稼ぎやすいとされます。ジェダイのパダワンTel-Rea Vokossは、敵を何度も押したり引いたりして互いにぶつけ、マップの端から放り出すこともできます。評者は終盤、この2人に、注意を引く壁役のKabb Uppercutを加えて使うことが多かったそうです。
Jaeには、体力が低い敵をマップのほぼどこからでも仕留める処刑能力があります。本作のもう1つの優れた追加要素Assistsは、毎ターン1人の仲間を呼び、最初の仲間が次に攻撃する敵へ追加の一撃を与えさせるものです。評者は攻撃、アシスト、処刑の連鎖が決まると、画面に映る自分の顔を誇らしげにうなずかせたと書いています。Kabbに反撃能力やアシスト強化を持たせれば、さらに長い連鎖も組めるということです。
ミッションはおおむね良好、拠点運営は軽め
ミッション自体はおおむね楽しいとされています。背後で爆破されていく長い橋を渡って脱出するミッションや、物語終盤のいくつかの動的なミッションは特に良いそうです。一方、一時的な仲間の救出、ボタンの作動、特定エリアでの待機といった、やや定型的なものも多いとされます。ただし、それらは難度を上げると、かなり面白くなります。
ミッションの合間には拠点管理があります。Marvel's Midnight Suns を思わせるように、拠点は三人称視点で歩き回れる空間です。静的なNPCとして仲間が待機し、頼めば説明や人物描写を聞かせてくれます。評者は、Kabbのコックニーのような独特の話し方が特に気に入ったそうです。
拠点の各所では、アップグレードもできます。キャラクターにはスキルツリーがあり、のちに2つ目のツリーも加わります。2つ目では任意のクラスから選べる点が評価されています。大半は控えめな強化で、クリティカル率の上昇など目立たないものもあります。それでも、Advantageの消費を2から1に減らすといった小さな改善が、接戦で決定的な差になることがあります。クリティカル率も積み重ねれば、ほぼ毎回の射撃でクリティカルが狙えるほどになるとのことです。
弱い部分は経済面と作りかけの要素
効果が薄いと評されたのは、闇市場の店と拠点自体のアップグレードです。どちらも費用が高すぎて、意味のある違いを生むほど実行できなかったといいます。標準難易度で評者が闇市場で買ったのは、全編を通じておそらく1点だけでした。拠点のアップグレードも、報酬では1サイクルにつき1つ程度しか買えません。実質的に1つずつ順番に強化するだけで、選択や戦略の余地がほとんどありません。
サイクルごとに1回のミッションの前にこなすOperationsは、FTLのような選択式のテキストだけのミニミッションです。ジレンマや、ほぼ同等の3つの報酬から選ぶ形式で、仲間との絆に影響することもあります。簡素で短いため、評者は作り込み不足に感じています。拠点などで使われる三人称視点は、もともとこのOperationsを遊ぶための手段として想定され、途中で削られたのではないかと推測しています。
主要ミッションの冒頭にある三人称パートも批判されています。まっすぐ走って2か所をスキャンするだけのことが多く、野心に予算が追いつかなかった名残のようだとされます。もし半年の追加期間があり、発売前に一時帰休もなければ、削除されて存在すら気づかれなかったかもしれないと評者は想像します。仲間同士の絆も、ミッション同行やアシスト、Operationsでの選択で経験値が貯まり、レベルが上がると双方に3つの選択肢から選べるボーナスがつきます。ただ、評者が把握した限り利点はそれくらいで、意図的に育てる動機が薄く、遊んでいれば付いてくる背景的なボーナスにとどまっています。
総評
これらのシステムは単独では軽めですが、組み合わさることで本作に独自の彩りと手触りを与えている、というのが評者の見方です。常に判断すべきこと、最適化できる道筋、優先順位を付ける選択肢があることが本作の巧みな点です。限られた資源を、手元の情報で最善に割り振るという、タクティクスと管理要素が共通して刺激する思考の部分を突いているからだといいます。
評者は、公式に対する見事な改良が緊張感と判断点を増やし、複雑にせずに奥行きを加えていると結論付けています。Star Warsの豊かな時代設定、好感の持てるキャラクター、行動不能に近い危険なミッションから無名の仲間を生還させる創発的な物語も魅力として挙げられています。深く掘り下げたい人にも応える作りです。
完璧な作品ではありませんが、開発者たちの真摯な努力が随所に表れており、愛さずにはいられない一作だと評者は締めくくっています。