『Marvel's Wolverine』はInsomniacがSpider-Manの型を踏襲しすぎたと筆者が指摘、Marvelゲームに必要なのはジャンルの転換
2026年10月21日 | #レビュー | DualShockers
DualShockersの筆者は、Insomniac Gamesの『Marvel's Wolverine』が、ウルヴァリンならではの手触りを生かし切れていないと論じています。最大の理由は、同社のSpider-Manシリーズの仕組みを簡略化して引き継ぎ、ウルヴァリンの戦闘を大きく違うものにしなかったことです。筆者は、大作のMarvelゲームには、キャラクターごとにジャンルから作り変える発想が足りないと訴えています。なお本作は2026年9月15日発売で、PS5向けにSony Interactive Entertainmentが販売しています。
キャラクターごとに個性が違うMarvelの強み
筆者はまず、Marvel作品の魅力が人によって大きく異なると述べます。コミックの強みは、X-MenとDoctor Strangeのように、作品ごとにまったく別の出版物のような趣があることだとしています。
MCUも、特にドラマシリーズで改善してきたといいます。DaredevilとLuke Cageはどちらもヘルズ・キッチンの街を走り回りますが、それぞれ独自の作風とトーンを持っています。同じ型を繰り返すのは簡単だったはずなのに、そうしなかったという評価です。
一方で筆者は、予算の大きいMarvelゲームはこの教訓を学べていないと見ています。RivalsやTokonのような大型クロスオーバー作品では、ヒーローやヴィランごとにムーブセットの個性が出ています。しかし、キャラクターの持ち味をジャンルごと生かした単独タイトルは乏しく、大作のヒーローゲームが似通って感じられると指摘します。
Spider-Manの成功と安全策
筆者は、2018年のInsomniac版Spider-Manを非常に高く評価しています。ウェブスイングは最高水準で、おなじみのストーリーに新鮮な解釈を加え、ニューヨークもスパイダーマンのために作られたと感じさせる出来だったといいます。
戦闘も、機動力とガジェットを軸にピーター・パーカーの強みを表現していました。優れた移動能力と機転で敵に対処する、スパイダーマンらしい戦い方をプレイヤーに求める設計だったとのことです。Arkhamシリーズの模倣になるという懸念もありましたが、集団を段階的に崩して勢いを積み上げるBatmanのFree-Flowとは違い、Spider-Manは個々の敵を孤立させて一気に倒す方向に寄せていたと説明しています。
だからこそ筆者は、ウルヴァリンではまったく違う手触りを期待するのが自然だと考えます。長年の戦闘経験があるので、あらゆる状況への答えがそろったムーブセットになるはずです。群衆をほとんど抵抗なく切り裂き、真正面から渡り合える巨漢だけに集中すればよい戦い方でもあります。
そこで筆者は、Dynasty Warriorsのように大人数をなぎ倒す戦闘も考えられるとします。反対に、Silver SamuraiやSabretoothのような強敵との長い決闘に振り、持久力を主役にする案も挙げています。
しかしInsomniacは、この豊富な可能性とは逆の方向に舵を切ったというのが筆者の見方です。システムを簡略化し、Spider-Man三部作で機能していた要素を発展させることもしなかったと批判しています。ウルヴァリンは狩人なので、戦闘の跡を調べて敵を追うような仕組みも考えられたはずだと筆者は述べます。ところが実際には、手取り足取り案内する匂いの追跡が採用されました。戦闘もスパイダーマンと大きく変えず、残虐なフィニッシャーと別の特殊技を与えるにとどまったと指摘しています。
活かされなかったMarvelの世界
筆者は、小規模なスタジオが手がけたMarvelタイトルは独自の手触りを保ってきたと見ています。それだけに、Insomniacは専属のMarvelスタジオになる有力候補に思えたといいます。それでも結果は、ゲーム業界が型に頼りすぎるという、筆者が最も懸念していた通りになりました。
筆者は過去の例として、2010年代前半のミリタリーシューターの流行、Arkham Asylum後の2ボタン式アクションゲームの乱立、Undertale以降のインディーRPGの増加を挙げます。独自の成功作の後には模倣の波が押し寄せ、うまく発展させた良作が少数出る一方で、似たような6点前後の作品が山のように生まれるという見立てです。
Marvelのゲームの世界では、主要キャラクターごとに、ジャンルから変えた固有の体験を見たいと筆者は述べます。思いつきの例として、次の3案を挙げています。
ひとつはCaptain Americaの犯罪スリラーで、LA Noire風の推理で陰謀を解き明かすゲームです。次にHulkの心理的なイマーシブシムで、ブルースと怪物の均衡を取る方法を探すゲームです。最後にThorで、PS2時代のGod of Warのように遊べて、トーンは少し軽めのゲームです。
筆者は自分はゲーム開発者ではなく、あくまで夢物語だと断っています。それでも、これらがどれだけ違った遊び方になりうるかを考えると、そうあるべきだと強調します。
最近の成功例として挙げるのが、Square Enix発売のGuardians of the Galaxyです。完璧ではなかったものの、あらゆるメカニクスでガーディアンズが重要な存在だと感じさせた単独タイトルだとしています。ヒーローやチームごとに固有の体験を持たせ、他作品の仕組みを真似る必要はないという好例だという評価です。
筆者は結びで、InsomniacはSpider-Manで大当たりを引いたのに、その鉱脈を掘り尽くしてなお掘り続けているようで残念だと述べています。Marvelとの今後は不透明です。それでも、もう一度機会が与えられれば同じ過ちは繰り返さないだろうと筆者は信じています。ただし、失われた世間の忍耐を取り戻すのは、ずっと難しくなるだろうとも付け加えています。