『Dawn of War 4』は、スキップ機能や操作の自動化で幅広い層に門戸を開くRTS。キャンペーンは4勢力それぞれが初代1作分より長い
2026年10月28日 | #レビュー | Eurogamer
『Dawn of War 4』のプレビューです。Eurogamerのライターは、キャンペーンとスカーミッシュ(対AI戦)モードの一部を実際に遊び、これまでに遊んだ中でもっとも「気前の良い」RTSの一つだと評価しています。理由は、キャンペーンの規模、スキップ機能や操作の自動化といった遊び手への配慮、カスタマイズの幅広さです。ただし、遊べたのは一部だけで、ライター自身もその点を前置きしています。
ミッションをスキップできる設計思想
このゲームの姿勢をよく表しているのが、キャンペーンの「ミッションスキップ」ボタンです。気分が乗らないときや、終盤の失敗でAIに全滅させられたとき、先のストーリーがどうしても気になるときに、そのまま次へ進めます。ライターはこれを「静かに革命的」な選択肢と呼んでいます。
ゲームディレクターのJan Theysen氏は、この考え方を次のように説明しています。「開発側が思い描いた遊び方を、必ずしもプレイヤーにしてほしいわけではありません。遊べるものを用意したので、それで楽しんでほしいということです」
4勢力それぞれが長大で、分岐もあるキャンペーン
キャンペーンは勢力ごとに4つのサブキャンペーンで構成され、それぞれの物語がつながって、惑星Kronusを巡る1つの大きな物語になります。Kronusは、初代『Dawn of War』の拡張パックで人気の高いDark Crusadeの舞台でもあります。開発元のKing Art Gamesによると、4つのうちどれを取っても、初代のキャンペーン全体より長いとのことです。各キャンペーンには少なくとも1か所、2つのミッションルートから選ぶ分岐があり、ライターは1勢力分が「ほぼ2本分のキャンペーン」に近いと述べています。
ライターが最後まで遊んだのは、Orkと、新登場のAdeptus Mechanicus(Admech)の2勢力で、全体の約半分に当たります。Orkでは、Kronusの新興勢力であるGuzkuttaを続けて使うか、帰ってきた大ボスのGorgutzに乗り換えるかを選びます。内容は、Ork同士の混沌とした内輪もめに、Admechを踏み潰したり人間を叩き潰したりする場面が加わったものだそうです。
Admechでは、十分な権限もないまま砂漠を掘り返す好奇心旺盛なPotentia-Delta-9として始まります。謎の声、裏切り、コンピューターの精霊、仰々しい手続きを盾に怒る役人など、ウォーハンマー40,000らしい要素が随所に盛り込まれています。40,000の小説、特にHorus Heresyの序盤を読んだ人なら馴染みやすいとのことです。本作にはBlack LibraryでHorus Heresyを手がけたJohn French氏も参加しています。
分岐はミッションの構造にも反映されています。たとえばライバルと競走して、強大な敵拠点の先にある終点を目指すミッションです。Admechのキャンペーンでは、2本の直線的なルートが1点で合流し、3勢力が一度にぶつかる場面があり、ライターはこれを特に楽しんだそうです。ライバルに強いOrk勢力と戦わせ、その隙に相手の主力を叩いて大きな打撃を与え、弱ったOrkの大群を力押しで突破する。さらに拠点からの増援を合流点に送って足止めしつつ、残った先遣部隊でゴールへ押し切る、という戦い方で攻略したと書かれています。
細かく調整できるスカーミッシュと、勢力数の少なさ
スカーミッシュモードは、カスタマイズの幅が際立っています。ユニットを打たれ弱くも頑丈にもでき、研究や拠点占領の速度、収入、増援のコスト、クールダウンも変えられます。ライターの数えでは、設定は「一般」が9個、「経済」が8個、「戦闘」が8個です。指揮官ユニットは複数から選べ、無効にしたり出現方法を調整したりもできます。
ゲームモードは、敵の全滅を狙うAnnihilationと、拠点を占領し続けるDominationに加え、新モードのMaelstromとDefenceがあります。Maelstromは、マップ各所に定期的に現れる1回限りの占領ポイントを奪い合うモードです。Defenceは、おそらく何かを守るモードだろうとライターは推測しています。今回のプレビュー版で遊べたのは最初の2つだけです。Dawn of War 2から改良されて戻ってくるLast Standモードや、定番のアーミーペインターも、今回のビルドでは触れていません。発売後には無料マップや新モードも予定されており、ライターが特に楽しみにしているのはDark Crusadeで人気を集めたConquestモードです。
気になる点は勢力数です。派閥の多い40,000の世界観では、4勢力はやや少なく感じられます。RTSの発売時点としては標準的ですが、過去作で目立っていたChaos、Astra Militarum、Eldarが見当たりません。Astra Militarumはプロローグで短く使えるほか、各ミッションでやられ役として登場するため、発売後の追加を期待してよさそうだとライターは見ています。King Artは、2027年に勢力を追加すると約束しています。
歴代作のよさを集めた操作性と自動化
ゲームの作りは、歴代のDawn of Warの要素を少しずつ取り入れたものです。大規模な戦場と派手な演出、多数のアクティブアビリティ、Imperial Knight級の超大型ユニットといった3作目の特徴も入っています。ライターは、豪華で壮大、暗く本格的で奥深く複雑でありながら、どこかおどけた遊び心もあり、RTSの新規プレイヤーにも開かれた「完成形のDawn of War」を遊んでいる感覚だと述べています。
OrkやAdmechが絡む場面では、画面が文字通りユニットで埋まります。そこで役立つのが、新たに加わった右クリックドラッグです。自軍を選択するときのようにドラッグして敵の集団を囲むと、選んだユニットがその集団の中から優先目標を自動で選んで攻撃します。
ライターは当初、格闘ゲームのコンボ用ショートカットのように、RTS上級者が積み上げてきたマイクロ操作の技術を損なうのではないかと考えました。しかし実際には、大量のユニットを非合理な判断をさせずに(おおむね)戦場へ送り込めるため、そのあとの細かい操作で上手い人と普通の人の差が出ると感じたそうです。アクティブアビリティも、右クリックで設定すればクールダウンが明けるたびに自動で使われ、乱戦の中で使い忘れる心配がありません。
Theysen氏は「多くのことを自動化できる選択肢を用意しようと考えました。完璧ではなく、突き詰めたければやれることはありますが、かなり良い出来です。圧倒されて何も使えないよりは、確実に良いはずです」と語っています。一般的なプレイヤーには助けになり、eスポーツ志向の上級者なら自分で最適化したくなるはずで、「誰もが1秒に20クリックするわけではない」とも述べています。
また同氏は、本作を次の大型eスポーツタイトルにすると決めているわけではないと説明しています。競技として遊べない理由がないようにはするものの、それは目標ではなく、上位1%のためには設計していないとのことです。バランスも同じ考え方で、上位1%に合わせると残り99%には違和感のある調整になると話しています。増援機能のようにRedditなどで議論になっている要素もあります。
増援と戦闘演出に見える遊び心
戦場での増援は、初代に存在し、のちにRelicの『Company of Heroes』などで拠点への帰還時のみに変わった仕組みです。本作では、増援ボタンを押すと、少し間を置いて部隊に新しいユニットが補充されます。右クリックで、資源がある限り自動で補充する設定にもできます。Theysen氏によると、開発当初は戦場での増援はなく、設定上の整合性や、RTSとして一般的でないことが気になっていたそうです。試しに入れてみると、経済の駆け引きを戦闘に持ち込める仕組みとして非常によかったといいます。資金を使って増援で戦いを引き延ばし、流れを変えるか、細かい操作で効率よく戦うかを選べます。
ライターは増援をほぼ常にオンにして遊んでいました。それは意図的な選択であると同時に、上達したければいずれ卒業すべき支えになりうるとも感じています。一方で、そのままオンにして、Orkの大群をAdmechの砲台にぶつけて楽しむ遊び方もあるとのことです。
本作の目玉である視覚面の新要素「コンバットディレクター」にも、同じ考え方が見えます。大量の個々のユニットが専用のアニメーションで白兵戦を繰り広げる機能です。Theysen氏によれば、内部処理と見た目は完全に切り離されており、機能を切ってもゲームはまったく同じように進行し、戦闘にかかる時間も従来のRTS方式と変わりません。ライターは、初代のこの演出を気に入っていたアニメーション担当者が、新しい試みとして取り組んだ飾りのような機能と見ています。
小規模な開発チームが贅沢な機能を詰め込めた理由
ライターは、決して大きくない開発チームがなぜこれだけの機能を盛り込み、発売後の長期サポートまで約束できるのかを尋ねています。ライターの見立てでは、機能の多くは贅沢品と言えるものです。
Theysen氏が挙げたのは、まず時間です。チームは約5年間この作品に取り組んできました。「とても幸運でした」と同氏は語っています。チームが小規模なので、開発費の消費ペースも総予算も他のRTSより高くないといいます。さらに、現在の技術と気心の知れた仲間と長く仕事をしているため、開発の効率がよいことも理由です。技術と経験、時間があったため「きちんと仕上げよう」と考えられ、販売元のPlaionとGames Workshopの忍耐にも支えられたそうです。
同氏は、18か月ほどの開発期間のRTSがあるが、優れたRTSを18か月で作るのは不可能だと考えています。複雑すぎて、作りながら発見したことに次の締め切りのせいで対応できなくなるからです。長い開発期間と、試行錯誤できる長いプリプロダクションを好むと話しています。
もう一つ、同氏がもっとも強調したのがチームを保つことです。King Artには15年以上在籍する人も多く、互いのことをよく知っているため、誰が何に向いているか、誰と誰を組ませればうまくいくかが分かるといいます。コンバットディレクターは、初代の大ファンだったアニメーション責任者が「同じことをもっとかっこよくできる。数週間くれれば考える」と言い出したものでした。最初は誰も仕組みを想像できませんでした。約100種のユニットと多様な武器があり、誰が誰と戦うかの組み合わせは数万通りになるためです。それでも本人は「計画がある」と言い切ったそうです。
その結果は、ライターがこのジャンルで見たことがない機能になりました。同氏は、時間と、仲間を信じる自信が大切だと述べ、「チームは買えません。次の偉大なRTSを作ると決めて必要な人を全員買い集めれば、2年後に傑作ができるというものではないのです」と語っています。
評価と今後への期待
ライターは、遊べたのは一部だけだと断ったうえで、その一部は「壮大で陰鬱、魅惑的なほど出来が良い」と述べています。キャンペーンの戦闘は規模が桁外れで、画面を埋め尽くす大量のユニットと、このジャンルでは珍しい視覚的な迫力があったそうです。物語面の元ネタから、Astra Militarumが受ける暴力に代表される、ほとんど笑ってしまうほど容赦のない暗さまで、40,000を正しく描こうとする姿勢が全体から伝わるとのことです。要求ポイントや増援、拠点建設といった旧来の要素と、現代的なRTSの細やかな要素の組み合わせも、考え抜かれていると感じたと評価しています。
調整の余地もあります。現時点では近接ユニットがやや強すぎるように見え、砲兵のように敵を妨害するユニットやアビリティがもう少しあってもよいとのことです。ただし、発売までにも発売後にも調整の時間はあるはずで、現状でも、これまでに遊んだ戦略ゲームのプレビューの中でもっとも印象的なものの一つだとしています。