PolygonがLarianによる『Dragon Age』引き継ぎに反対、理由は4つ
EAがBioWareを閉鎖したとBloombergが報じたことを受け、ファンの間で「Larian Studiosに『Dragon Age』を任せてほしい」という声が高まっています。Polygonの筆者はこの案に理解を示しつつも、Larianは『Dragon Age』から距離を置くべきだと主張しています。
高まるLarian待望論
BioWareは2026年10月に正式に閉鎖されました。報道と同じ日には、Mass EffectはCD Projekt Red、Dragon AgeはLarian、Dead SpaceはCapcomに渡るべきだ、というファンの投稿も見られました。LarianにThedas(Dragon Ageの舞台)を任せたいという声自体は新しいものではなく、2023年に『Baldur's Gate 3』が発売されて以降、3年にわたって各種サブレディットで繰り返し投稿されてきました。
閉鎖を受けて、こうした声はさらに大きくなっています。あるReddit投稿は、EAが「優れたRPGで知られるスタジオ」にIPを売却することを望んでおり、返信ではLarianの名前も挙がりました。元Dragon Ageエグゼクティブプロデューサーのマーク・ダラー氏は、BioWareのゲームを作る人がいなくなった以上、EAがIPを売却する可能性は「より高い」と動画で語っています。ただし、IPを倉庫にしまい込む可能性もあるとしています。Larian CEOのスヴェン・ヴィンケ氏がBioWareについて「RPGを大きくする道を切り開いた」と述べたことも、期待に火をつけました。『Baldur's Gate 3』はBioWareの名作2本の直接の続編にあたるためです。
筆者はこの案を魅力的だとしながらも、うまくいかない理由を4つ挙げています。
理由1:Larianはすでに進む先を示している
Larianは2024年、フォーゴトン・レルムでの6年間を経て「自社IPを開発する機会を生かす」と述べていました。その自社IPが、2025年12月のThe Game Awardsで発表された『Divinity』です。『Baldur's Gate 3』よりも大規模な作品とされており、Thedasを引き受けることは、この意欲作をいったん脇に置くことを意味すると筆者は指摘します。
理由2:既存IPには制約が付いてくる
Larianは本格的なD&Dゲームを作れたことを「夢がかなった」と語っていますが、今後は自社IPに移る姿勢を明確にしています。『Baldur's Gate 4』への期待に対しても、ヴィンケ氏は、IPを持つWizards of the Coastが「たいまつを引き継ぐ相手を見つけるべきだ」と述べています。既存のキャラクターや世界を扱う場合、他者の条件で制作が進むことになり、Larianはそれを避けたい様子だというのが筆者の見方です。
『Dragon Age』を引き継げば、再び管理の厳しい世界に入ることになります。シリーズには17年分の設定と、意見の強いファン層、そして大きな重荷があります。最新作『The Veilguard』は開発が「極めて波乱に満ちたもの」で、評価も賛否が分かれました。新しい所有者に求めるものとしては重すぎると筆者は述べています。ファンの中には、Larianに負担を負わせるより、元スタッフが新スタジオを立ち上げるほうがよいと考える人もいるそうです。
理由3:相性は思うほど良くない
『Baldur's Gate 3』が傑作になった理由の一つは、Larianらしさが明確に表れていたことだと筆者は見ています。ふざけた会話の選択肢、油の樽を使って戦闘を避けるような環境パズル、そしてターン制戦闘は、『Divinity: Original Sin 2』などのファンにはおなじみの特徴です。
一方、『Dragon Age』の本編にターン制の作品はありません。『Origins』はポーズと戦術スロットを備えたリアルタイム戦闘で、後の作品はアクション寄りになり、『The Veilguard』は完全なアクションRPGです。Larianのファンを含め、『Dragon Age』ファンの中にもこの点を理由に引き継ぎへ否定的な人がいます。筆者は、任せた場合の結果は「Dragon Ageの帽子をかぶったLarianのゲーム」になりそうだと述べています。
理由4:EAは売却を表明していない
『Dragon Age』のIPを持つのはEAであり、売却するとは誰も言っていません。ダラー氏によると、EAがまず取り組むのは、負債の利子に埋もれないよう何を削るかを見極めることです。そのため、売却するなら得られる最大の見返りを求める可能性が高いといいます。同氏はさらに、EAは『Dragon Age』の主流向けの可能性を見ておらず、BioWareからのリマスター案も断ったとも語っています。
Larianが持つほうが、EAが放置するよりはましだろうと筆者は認めています。ただ、それはハードルの低い比較であり、これほど優れたスタジオにはもっと高い目標がふさわしいとも述べています。
BioWareへの敬意の示し方
筆者は、BioWare、『Dragon Age』、Larianに敬意を払う方法はほかにあるとしています。BioWareの元スタッフは、すでに精神的な後継スタジオを立ち上げています。SF RPG『Exodus』を開発するArchetype Entertainmentや、元BioWareの上級クリエイターであるケイシー・ハドソン氏が率い、『Star Wars: Fate of the Old Republic』を開発中のArcanaut Studiosなどです。
また、物語設計の手本といえる『Dragon Age Origins』や『Divinity: Original Sin 2』を遊び直すこともできます。そしてLarianには、自分たちにしか作れない次の作品を、自分たちの条件で作ってもらうことです。BioWareが『Dragon Age』を生み出したのも同じやり方だったとして、今度はLarianの番だと筆者は結んでいます。