『Hellraiser: Revival』レビュー、姿を変え続ける異空間での恐怖演出が光ります
2026年10月08日 | #レビュー | Eurogamer
『Hellraiser: Revival』は、物語もアクションも粗さとばらつきが目立ち、傑作とは呼べない作品です。それでも、原作への愛情を感じさせる大胆な試みと、異空間で繰り広げられる恐怖演出には強く引きつけられます。噛み合わない要素を抱えながらも、遊び進めるにつれて戦闘と演出がまとまり、混沌とした体験の中に独特の面白さが見えてきます。
原点への意欲は伝わるものの、物語はまとまりを欠きます
約40年にわたり、さまざまな媒体で異なる作風を見せてきたHellraiserシリーズ。そのゲーム化にあたり、開発元のSaber Interactiveが立ち返ったのは、シリーズの原点であるクライヴ・バーカーの1986年の中編小説The Hellbound Heartです。
この小説は、ゲイのBDSM文化から着想を得た、執着と依存を描くクィアホラーの古典です。後の映画では荒唐無稽な方向へ進み、象徴的な悪役Pinheadも、フレディやチャッキーのように軽口をたたく存在になっていきました。本作ではPinhead役のダグ・ブラッドレイが短い出番ながら復帰していますが、物語そのものはバーカーの原作が持つ主題を重視しています。
主人公Aidenは、恋人Sunnyを地獄から救い出すため、宗教じみた過激なBDSMカルトに立ち向かいます。その先で関わるのが、苦痛と快楽が入り交じる領域から来た異次元の存在、Cenobitesです。物語は汗ばんだソフトコアの性描写から始まり、ほどなく肉体を引き裂く暴力へと転じます。ただ、AidenとSunnyの関係は最初からあまりに有害で、救出劇の中心となる2人に感情移入しにくいのが難点です。
恐怖の作り方にも、ちぐはぐさがあります。巧みに組み立てた恐怖演出より、融合した肉体や引き裂かれた肉体を次々に見せることで嫌悪感を引き出します。その容赦なさは効果的ですが、悪役たちの大げさな振る舞いとはうまく馴染みません。仮面さえなければ、ひげをひねって悪だくみをしそうな芝居がかった人物ばかりです。
官能性を出そうとする場面も、ディルドが散乱するネオンまみれのナイトクラブや、ポルノのような棒読みで口にされる陳腐な性的冗談によって、すぐに雰囲気が崩れます。物語は露骨すぎるかと思えば筋が通らなくなり、性と暴力の交わりという複雑な題材を扱うには、繊細さも掘り下げも足りません。尻をパドルでたたく操作まで盛り込んだ中規模のFPSでは、その主題を持て余している印象です。
それでも、題材を見世物として消費しているだけだと感じさせる一線は、辛うじて越えずにいます。原作を大切に扱いたいという真摯さが、この不格好な物語を支えています。
弾薬と物資の不足が、戦闘に切迫感を与えます
基本となるのは、ごく標準的なFPSです。序盤の簡素なステルスは早々に正面からの戦闘へ移り、ピストルから始まった装備に、ショットガン、リボルバー、サブマシンガンなどが加わっていきます。謎めいた老婆が時折店を開き、武器や強化を販売する仕組みには、バイオハザード4を思わせるところがあります。
やがてレーザーサイトや焼夷弾を使い、敵のUnworthyを次々に倒すようになります。ホラーから遠ざかりそうな展開ですが、Saberはどうにか恐怖と両立させています。
まず、Aidenの動きには心地よい重さがあります。走れば体が揺れ、横へ踏み出せば勢いが乗り、近接武器で殴ったり切ったりするときには、生々しい手応えが伝わります。その一方で、武器は壊れ、弾薬は乏しく、最も基本的な敵でも倒すには何発も必要です。装甲を持つ敵には、重い武器の一撃や強力な射撃で装甲を剥がす手間もかかります。どの戦闘も破綻寸前の緊張を保ちつつ、過度に厳しいだけの難度にはなっていません。
クラフトも、この切迫感を強めています。評者は近年のゲームにクラフトが広く取り入れられる傾向を好んでいませんが、本作では必死に物資を拾い集める行為が体験に役立っています。いざというときに回復アイテムや弾薬を少しでも作れるよう、手当たり次第に持ち帰りたくなるのです。
限られた所持品の枠も判断を迫ります。配置を変え、保管し、ときには捨てながら、手元の物資で最も役立つ装備を組み上げていきます。テトリスのように隙間を埋める管理には、追い詰められた状況ならではの面白さがあります。
やがてシリーズを象徴するパズルボックス、Genesis Configurationが、重力銃のような役割を担います。丸のこ刃やとげ、火球まで投げ飛ばし、複数の敵をまとめて切り裂けるようになります。動力となるSufferingが足りなければ、瀕死でよろめく敵から凄惨な方法で吸い出せます。
バイオハザードの資源管理に、Half-Lifeの重力銃やDoomを思わせる戦闘を組み合わせた作りですが、うまく噛み合うと独自の即興的なリズムが生まれます。あっという間に弾が尽きる武器を持ち替え、周囲に投げつけられる鋭い物がないか探し、必要な物を拾うために所持品を捨てる。その慌ただしさが、戦闘を純粋なパニックへ変えていきます。
短すぎる小競り合いと装備管理が、勢いを削ぎます
問題は、本作がこうした道具を十分に生かせない時間も長いことです。特に前半は、始まったそばから終わるような戦闘が一本道に並び、手応えのあるリズムに乗る余地がありません。反対に、ボス戦はやや長引きすぎます。
もともと進行の緩急が不安定で、ウォーキングシミュレーターのようにのんびり歩き回る場面も多いため、小さな戦闘の繰り返しが単調な作業になりがちです。大きな戦闘の最中にも、限られた装備枠へ武器を手動で出し入れするために何度も中断しなければならず、所持品管理が勢いを削いでしまいます。
それを救っているのが、趣向を凝らした大きな戦闘場面です。森の小屋ではUnworthyが押し寄せる中で窓を板で塞ぎ、狭い密室では床に溶け込める怪物と対峙します。煙の中で身を隠しながら進む場面へ切り替わることもあります。大きな遭遇戦の多くが新たな工夫を持ち込み、次に何が起きるか分からない楽しさを生んでいます。
アイデアの多くは借り物で、鍵開けのミニゲームまでSkyrimに似ています。それでも、遊びが絶えず切り替わるため、退屈しにくい作品です。
異空間Labyrinthで、映像と緊張感が噛み合います
現実世界でのアクションが停滞し始めるころ、体験を持ち直させるのがLabyrinthへの移動です。ここはCenobitesと、その悪魔的な神Leviathanが暮らす異次元の領域。本作は全体として見栄えのよいゲームですが、Saberの美術が最も力を発揮するのは、この場所です。
果てしなく続く石造りの空間は、エッシャーの絵のように常識的な構造や遠近感を裏切ります。評者はこうした現実にはありえない空間を描くゲームに弱いと認めていますが、それを踏まえても、Labyrinthの不可解な造形は本作の大きな見どころです。ここではばらつきのある戦闘に代わり、パズル、足場を渡るアクション、追跡からの逃走が中心になります。
仕組み自体は、それほど複雑ではありません。凶悪な刃を避け、激しく回転する罠の間を忍び、Leviathanの視線を逃れます。Genesis Configurationで巨大な石の塊を動かし、道を作ることもあります。
ただし、動かすものが軋みながら回る巨大な石の螺旋や、自ら折り重なるように展開する階段になると、その体験は一気に特別なものになります。重力の向きが変わり、周囲が回転し、動きと音の渦に感覚を乱される演出が、単純な仕掛けを引き立てています。
Leviathanの視線の下で記憶が非現実へ溶けていく、P.T.に影響を受けた場面も印象的です。執拗に追うChattererから逃げる場面では、Labyrinthそのものがリアルタイムで姿を変え続けます。こうした場面は壮観さと緊張を両立し、理不尽なストレスにも陥りません。本作で特に優れた部分です。
不安定な前半を越えると、独自の面白さが見えてきます
『Hellraiser: Revival』は、優れたゲームと呼ぶにはあまりに混乱とむらが多く、特に前半には、良作とすら言いにくい時間があります。作風も物語も定まらず、繊細さが必要なところでつまずき、感情をつなぐ軸も弱いままです。CenobitesとLabyrinthが画面から消えると、借りてきた仕組みの多さゆえに、作品独自の顔が見えにくくなります。アクションがだれることもあります。
それでも、徐々に戦闘と遭遇場面は道具を生かすようになり、確かなリズムをつかんでいきます。Labyrinthと現実世界の境界が曖昧になるにつれて、ばらばらだった作風も落ち着き、両方のよい部分が交わり始めます。
粗く不安定でありながら楽しめて、楽しめないときにも興味を引き続ける。その快楽と苦痛が入り交じる感触は、Hellraiserシリーズ全体にも通じます。
本レビューには、Saber Interactiveから提供されたレビュー用コピーを使用しています。