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『Stranger Than Heaven』は混血の青年・大東誠の50年を描く、監督と主演が語る多文化の葛藤と新しい戦闘

2026年10月21日 | #ゲーム紹介 | Game Informer

『Stranger Than Heaven』は混血の青年・大東誠の50年を描く、監督と主演が語る多文化の葛藤と新しい戦闘

RGG Studioの新作『Stranger Than Heaven』は、2027年1月15日にPS5、Xbox Series X|S、PCで発売されます。「龍が如く」シリーズの世界につながる前日譚で、日米のミックスである青年・大東誠(Makoto Daito)の人生を、1915年から1965年までの50年にわたって追う作品です。Game Informerは約3時間のハンズオンを行い、ディレクターの阿部power氏と主演の城田優氏にも話を聞いています。

居場所を求めて日本へ渡った大東誠の物語

プレイヤーが操作する大東は、アメリカで受けた偏見から逃れるため、1915年にサンフランシスコから日本行きの船に密航します。しかし、たどり着いた小倉でも受け入れられる空気はありませんでした。街を歩けば陰で野次を飛ばされます。大東はスヌープ・ドッグが演じるオルフェウスの下で仕事をこなしていきます。

そんな中で大東を一人の人間として見てくれたのが、酒場で働く松本多恵です。ライバルの組織を陥れるために店へ通った大東は、一晩を共に過ごすうちに企みを打ち明け、多恵を本当のデートに誘います。ところが多恵は沖組の妾でした。怒った沖は大東の命を狙い、多恵を連れ去ります。大東は多恵が囚われた製鉄所へ攻め込み、巨漢の志村と戦います。これが筆者にとって、3時間のプレイで最も盛り上がった戦いでした。

戦闘では、左右のショルダーボタンが両腕、トリガーが両脚に対応し、コンボを直接組み立てます。志村は第2形態で巨大な武器を振るうため、筆者は軽いナイフを選びました。身軽さを生かして攻撃をかわし、志村を倒して多恵を救い出しています。

物語は小倉のあとも続き、舞台は1919年ごろの呉、1943年の大阪、1951年の熱海、1965年の新宿へと移っていきます。筆者は呉と大阪を自由に探索できました。

呉には闘技場があり、強くなっていく相手に挑めます。倒した相手には、特別な勝利条件を付けて再挑戦もできます。筆者は仮面をかぶった連続殺人鬼にも遭遇し、これまでで最も苦しい戦いになったそうです。また呉には作曲家がいて、大東がひらめきを得た音から曲を作る手伝いをしてくれます。筆者のプレイでは、通りがかった家の赤ん坊の泣き声や、金属製の武器がチンピラの頭を打つ音までが曲の着想になりました。

1943年の大阪では、周囲の態度が一変しています。裏社会での活動と音楽興行での成功により、老若男女が笑顔で駆け寄ってきます。この章では地元の店主と交渉して看板の広告枠を買い、劇場で公演を開きます。演目と出演者を選び、インタラクティブな公演にも参加できます。筆者は多くの要素が重なり合う作品だと感じ、強い感銘を受けて取材を終えたと述べています。

「ヤクザ組織はどう生まれたのか」から始まった企画

阿部氏によると、最初から「龍が如く」の前日譚を作ろうとしたわけではありません。シリーズで東城会や近江連合を描くなかで、そうした組織は誰がなぜ作ったのかという疑問があり、それが出発点になりました。物語を作る過程でさまざまな要素を足していったとのことです。

最初の構想は、組織を作ろうとする日本人男性の話でした。そこで主人公に強い動機を持たせるため、日本とアメリカの混血という設定が生まれます。この設定によって、アメリカ人キャラクターは英語、日本人キャラクターは日本語を話す多言語の作品にできました。阿部氏は、こうした作りのゲームは見たことがないと話しています。

城田氏は、個人的な考えと断ったうえで、人種に限らず自分のアイデンティティに悩む人は多いと語りました。人からレッテルを貼られて苦しんでいる人にとって、大東の物語が本当の自分を見つける勇気になればと考えています。

城田氏自身も、幼いころにスペインで疎外感を覚え、日本に来て「帰ってきた」と思ったら同じ経験をしたといいます。そのため大東の気持ちは想像しやすかったそうです。作中で大東は当時の西洋人への蔑称「毛唐」で呼ばれますが、意味が分かりません。日本語もまだ十分ではなく、周りには外国人として扱われ、相手にされません。城田氏は、この場面を見ると悲しい一方で、懐かしくも感じると話しています。

日本語の上達や年齢の変化を演技に込める

阿部氏は、モーションキャプチャーと声の演技で、大東がどれだけ日本人らしくなっているかを特に意識したといいます。序盤の大東は、ボディランゲージも母語も英語寄りで、人との距離感や動きも西洋的です。物語が進むにつれて、日本人らしいコミュニケーションや、地位の高い人物のような振る舞いを身につけていきます。日本語の習熟度はリップシンクにも影響するため、表情のアニメーションにも力を入れました。

戦闘中の掛け声にも変化があります。序盤は「Take this!」「You bastard!」のような英語ですが、時間が進むにつれて日本語になっていきます。城田氏によると、来日直後の大東は頭の中の考えも英語で、5年、10年とたつうちに日本語へ変わっていきます。城田氏にとって英語は3つ目の言語で、スペイン語から日本語へという自身の経験とも重なりました。10代の大東と1960年代の大東では声も大きく違うといいます。阿部氏によれば、広島や大阪など土地ごとの日本語の訛りも城田氏は見事に演じ分けています。

阿部氏は、新しい学校や職場で最初はよそ者になる経験は誰にでもあり、世界中の人が共感できる物語だと考えています。

大東の見た目の変化についても質問がありました。1915年の大東は目立たないよう溶け込もうとしますが、次の時代では髪を金色に染めています。阿部氏は、よい読みだとしつつ、ネタバレを避けるため多くは語りませんでした。東京ゲームショウで公開したハマとの場面にヒントがあるとのことです。大東は各時代の街で自分のアイデンティティを探していき、見た目もその過程を表しているといいます。日本社会にどれだけなじむか、あるいはあえてなじまない選択をするかを示す細かな仕掛けがあり、小さすぎて発売後も気づかれないものがあるかもしれないと笑っていました。

50年を描く難しさと、時代ごとの扱われ方

50年にわたって一人の人生を描くことは大きな挑戦でした。大東の友人・新庄優をディーン・フジオカ氏が演じていますが、40代の同氏が年を重ねた姿はまだ分からず、老年期のモデルを作るのが難しかったそうです。菅原文太氏が演じる岩城は、年代ごとの写真資料があったため参考にできました。阿部氏は29歳で、大東の高齢期の感覚は想像するしかなかったと話しています。城田氏は40歳で、自身の経験から想像できる範囲を超えるのが最後の新宿の時代だといいます。ネタバレのため詳細は伏せましたが、50年で大東を形作る出来事を考えるのは興味深い作業だったそうです。

周囲の反応が時代ごとに変わることも、大きな見どころです。阿部氏によると、大東は日本に来た当初は何者でもなく、その後、島津商会(Yashima Trading Company)の一員になり、呉では岩城組に入り、大阪では新庄と興行会社を始めます。立場が変わるたび、人々の反応も変わります。この違いはゲームプレイだけでなく、ムービーの背景で歩く人々の演技にも反映されています。疎まれている場面もあれば、誰にも気にされない場面もあります。

城田氏は、大東が若く怯えていた頃は同化を強いられ、やがて自分の価値を見いだして成長し、人からの見られ方も変わっていくと説明しました。柔らかく影響されやすかった大東は、裏社会に入って組の一員となり、年を重ねるにつれて硬い殻をまとっていきます。最終的に皆から「ボス」と呼ばれる立場になることは、俳優として注目される自身の経験にも重なり、演じやすかったそうです。

都市と時代の選び方、再現ではなく娯楽としての描写

舞台となる都市と時代は、描きたい物語から選ばれました。阿部氏によると、巨大な組織が生まれる過程は、シリーズのように1週間ほどの出来事では描けません。そこで、ある男が「自分の居場所」と呼べる場所を作るまでの人生を描くことにしました。

始まりの小倉は、当時大きな工業都市で、密航した人物がたどり着く場所として自然だったといいます。終わりは最初から1965年の新宿に決まっていました。その間の都市と時代は、大東をどんな状況に置くと面白いかで選んでいます。

呉は、映画『仁義なき戦い』の舞台として知られ、ヤクザを描くのに適した街です。大東は日本人かアメリカ人かで揺れており、きわめて日本的な組織であるヤクザの世界に彼を置くのは興味深いと考えました。また当時の呉は軍港で外国人も多く、日本人だと思って組に入りながら、外国人としての自分も持つ大東の物語に向いていたそうです。

複数の時代を描く作業は非常に大変でした。「龍が如く5」でも5都市を描きましたが、今回は都市間でアセットを使い回せません。1915年ごろの様子は誰も知らないため、阿部氏自身も知らなかったものが多く、古書店を回って当時人気だった雑誌を探すこともありました。各都市を訪れて古い写真も調べています。ただし歴史を忠実に再現する意図はなく、調査で得た着想をゲームとして楽しめる形に変えているそうです。

歴史的事件との関わりについては、1943年の大阪が戦時中であるように、出来事には触れています。ただ物語の中心は大東の人生で、戦争のような大事件も街の人々の暮らしに影響するものの、歴史そのものより人々の生活を描くことを優先しているとのことです。

映画の技法、ヴィンテージの質感、ミニゲーム

阿部氏は映画学校に通った経験があり、当時のレンズやフィルムの技法を調べて取り入れています。たとえば映像に文字を入れるために、昔はガラスに文字を書いてフィルムに焼き付けていました。そのアナログな手法が、コンピューターグラフィックスでは出せない雰囲気につながるといいます。アートディレクターの金谷大志氏は油絵の経験が深く、当時の日本画の照明表現を研究しました。映画と絵画の視点が合わさり、2人とも見たことのない映像になったそうです。阿部氏自身はクラシックなハリウッド映画やギャング映画、任侠映画が好きで、菅原文太氏が活躍した時代の作品からも着想を得ています。

巻いて撮影し、質屋に持ち込んで現像するフィルムカメラも、阿部氏が入れたかった要素です。中学生の頃にはすでにスマートフォンがあった世代で、アナログの道具に憧れていたと笑っていました。ムービーの多くは阿部氏が演出し、当時でも撮れそうで、かつ新しい映像を目指しました。キーワードは「ヴィンテージ」で、古くさく見えないよう、カメラの動きは派手にせず当時のやり方に寄せつつ、照明は現代的にして古びて見えないようにしたといいます。

「龍が如く」シリーズとの距離感については、開発チームは若い世代が中心で、「龍が如く」ではこうだったから、という議論は一度もなかったそうです。『Stranger Than Heaven』という作品だけに集中したことが、新しさにつながっていると阿部氏は考えています。

阿部氏によると、RGG Studioの作品では、ゲームの仕組みは描きたい物語に合わせて決まります。桐生一馬は伝説の喧嘩屋なので、プレイヤーが強さを感じられる格闘アクションにしました。春日一番は友情の物語なので、ターン制バトルを選んでいます。大東は、最初は人の殴り方も知らない人物です。その設定を操作にも反映し、プレイヤーと大東が同調するような直感的な操作を目指しました。時代が進むにつれて大東が変わり、プレイヤーの腕前も上がっていく点も、特別な体験になるといいます。

戦闘の着想は任侠映画にあります。任侠映画の荒々しいアクションには、達人は登場せず、服をつかんで戦い、殴るだけにとどまらない生々しさがあります。阿部氏はその生々しさと「殺すか殺されるか」の緊張感を、プレイヤーにも感じてほしいと考えました。

ミニゲームは、街の雰囲気を遊びで表すために選んでいます。現代が舞台のシリーズではカラオケやパチンコなどがありました。今作でも当時の流行を調べ、都市や時代の空気を伝えるものを選んでいます。1つの都市と時代にしかないものもあれば、ずっと遊べるものもあり、技術が進むにつれて新しいゲームも加わります。多くはまだ発表されていません。

スヌープ・ドッグやトゥパックのキャスティング

キャスティングは常に物語が優先でした。オルフェウスは大東に、日本での生き方や音楽、興行で稼ぐ方法まで教える人物です。アメリカから日本へ大東を運ぶ密航業者でもあるため、強さが必要で、感情的な場面も多く、演じるのが難しい役でした。そこでスヌープ・ドッグが演じたら面白いと考えたそうです。スヌープと息子が過去の「龍が如く」をプレイしていたことも聞いており、連絡を取りました。物語と役柄を説明し、見た目や話し方を一緒に作り上げたといいます。

トゥパックや、すでに亡くなっている菅原文太氏についても同様で、遺族や関係者に物語と起用の理由を説明しました。皆がゲームへの登場を歓迎し、本人が生きていたら演じたであろう姿を損なわないよう、最大限の敬意を払って作ったそうです。

なお、本記事のインタビューは阿部氏への取材と、阿部氏と城田氏の同時取材の2回を、1つの対話にまとめたものです。