『メトロイドプライム4』のバイク探索パートは「ただの無駄」、プライム3部作の主任技術エンジニアが開発リソースの分散を指摘
『メトロイドプライム』『メトロイドプライム2』『メトロイドプライム3』で主任技術エンジニアを務めたJack Mathews氏が、『メトロイドプライム4』のオープンワールド風バイクパートは不要だったとの見解を語りました。Kiwi Talkzのインタビューで、開発リソースを分散させる結果になったと述べています。
砂漠エリア「Sol Valley」をめぐる評価
Sol Valleyは作中の砂漠エリアで、サムスは「Vi-O-La」というバイクに乗って探索します。ゲーム内の各地をつなぐハブの役割を持っていますが、プレイヤーの間では必要性について意見が割れていました。本来の一人称視点のプライムらしい遊びから外れすぎているという声もありました。
Mathews氏はまず、ほかのバイオームについて「ほとんど標準的なメトロイドプライムの要素」だったと述べています。プライム1で使ったツールを使い、新しい能力を加えれば、プライム4のどのバイオームも作れるという見方です。一方、Sol Valleyは別物だとし、「メトロイドに地形システムは存在しなかった」と指摘しました。
同氏は、ダンジョン中心のゼルダのゲームに「ウィンドウェイカーの海を入れる」ようなものだと例えています。Sol Valleyはまさにその海にあたり、近づくまで大きな物体は1つほどしか見えず、ほかはほとんど読み込まれていない状態だといいます。たどり着いても、砂漠と小さなバイオームが1つあるだけの遭遇になると説明しました。
こうした技術はこれまでになかったため、誰かが一から作る必要があり、その人たちはゲームの他の部分に携われません。Mathews氏はこれを、重要な技術とデザインの両面での「注力の分散」と表現しました。Sol Valleyで作ったものはほかの場面に流用できず、エリア内に2〜3体ほどいるAIも他では使われません。そのため、「ただの無駄」であり「意味のないリソースの分割」だと述べています。
新しい仕組みの導入は「リスクがある」
Mathews氏はさらに、プライム4のような作品でまったく新しい種類の遊びを作ることはリスクにもなると語りました。一人称視点の基本部分はチームにとって既知ですが、新要素は実装にかかる時間も、面白くなるかどうかも分からないためです。
同氏によれば、通常の部屋数、バイオーム数、敵の数といった制作計画は、既存の素材があるため、ほぼリスクなしに所要時間を見積もれます。Griever(六本腕のスペースパイレーツのような敵)や、ウォーワスプのような飛行する敵、プラットフォーム系の敵なども、既存のAIを元にできるとしました。
これに対しSol Valleyは、「砂漠版のハイラル平原」や「ウィンドウェイカーの大海原の砂漠版」のようなもので、システム全体を作ったうえで面白くしなければなりません。バイクで何が楽しいのかも、これまで手がけたことがないため分かりません。Mathews氏は、プロデューサーの田邊賢輔氏がバイク好きだったと記憶しているとしつつ、それは本題とは関係ないと付け加えています。そのうえで、リスクをどう見極め、完成までの時間や面白さをどう確認し、どうスケジュールを組むのかが課題になると語りました。
前作の名残かという見方と、Mathews氏の推測
インタビュアーから、Sol Valleyは田邊氏が監修し、バンダイナムコが開発していた初期版のプライム4の名残で、Retro Studiosが引き継いだのではないかと問われました。Mathews氏はそうかどうかは分からないと断ったうえで、Retroらしくないと強調しています。
同氏は、Retroなら理解できる範囲でできるだけ似たゲームを作り、面白いと考えるものを作るはずだと述べました。ロード時間の短縮が目的だったとしても、Sol Valleyからハブの入口へ向かう際には、ドアやトラムで大きなロードが入るか、ロケットで別の場所へ飛ぶことになるため、筋が通らないと指摘しています。
最後にMathews氏は、あくまで考えられる唯一の理由として、バイクが好きな誰かが、息抜きの時間が必要だと考えたのではないかと推測しました。ただ、メトロイドプライムでの息抜きは、戦闘のない探索の時間であり、その点が理解されていなかったのではないかという見方です。小さめのワールドに多くのアクションを詰め込み、その間の息抜きをSol Valleyに担わせようとしたものの、そこでは面白いことができず、プレイヤーが求めているものでもないと語りました。なお、これらはあくまでMathews氏個人の見解と推測です。