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『メトロイド ドレッド』発売5年、サムスの変貌を描く結末は今も任天堂屈指の名場面と評価される

2026年10月24日 | #レビュー | Polygon

『メトロイド ドレッド』発売5年、サムスの変貌を描く結末は今も任天堂屈指の名場面と評価される

発売から5年がたった今も、『メトロイド ドレッド』は筆者の記憶に強く残り続けているといいます。2021年に休眠状態だったメトロイドシリーズを復活させた本作は、緊密に設計されたメトロイドヴァニアと手応えのあるボス戦が魅力です。その中でも筆者が繰り返し思い出すのが、物語の結末です。サムスと自分の体との関係を恐怖として描いたことが、この結末を特別なものにしていると評価されています。

※この記事には『メトロイド ドレッド』のネタバレが含まれます。

力を失ったサムスが追われる脱出劇

物語は、銀河連邦がサムスを惑星ZDRへ送り込むところから始まります。任務は、宇宙に残る最後のX寄生体を探すために送られ、行方不明になったEMMIロボットの回収です。X寄生体は『メトロイド フュージョン』でサムスを死の淵まで追い込んだ存在で、放置すれば外来種として広がりかねません。サムスにとっては無関係ではない任務でした。

ところが単純なはずの回収作戦は、チョウゾの戦士レイヴン・ビークの襲撃で一変します。サムスはパワーアップを奪われたまま地下深くに取り残されます。ここから、再プログラムされたEMMIに狙われる、ホラー色の強い脱出劇が始まります。

EMMIがサムスを狙う理由は、彼女の血に含まれるメトロイドのDNAを抜き取るためです。このDNAは、『フュージョン』の冒頭でX寄生体に襲われたサムスを救うために融合されたものでした。命を救った処置が、のちに彼女を狙われる存在にしてしまったという皮肉な構図です。

物語の核にあるのは、自分の体への恐怖

本作にはチョウゾの伝承を含めて複数の物語の筋がありますが、筆者は核心を「サムスと自分自身の体との関係」だと捉えています。チョウゾの設定の下にあるのは、人生をかけて倒してきた存在に自分が少しずつ近づいていく女性の、個人的なホラーだというのです。

シリーズでのサムスとメトロイドの関係は、もともと複雑でした。初代では、メトロイドは倒すべき悪の怪物として扱われます。『メトロイド2 RETURN OF SAMUS』も終盤までその路線に見えますが、宇宙最後のメトロイドを倒した後、孵化した幼体がサムスを親と思い込みます。地上へ戻る静かな道のりでは、疑問を持たないまま行った絶滅の重さと向き合わされます。『スーパーメトロイド』では、その幼体がサムスを守って命を落とし、さらに追い打ちをかけます。筆者は、初期のシリーズでのサムスはヒーローではなく武器だったと見ています。

そのため、DNAに体を侵されていく『ドレッド』での葛藤は、いっそう強く響きます。筆者が最高の場面に挙げるのは、敵に飛びかかられたサムスが、メトロイドのように本能的に腕を引いてエネルギーを吸い取ろうとする瞬間です。サムスは直前で我に返り、もう一方の腕のキャノンで敵を撃ちます。体のコントロールをメトロイドの脳に奪われかけたと気づき、その顔には恐怖が浮かびます。内側での戦いが、2本の腕に象徴されているという指摘です。

結末のメトロイドスーツは超常の力か、呪いか

この葛藤は、レイヴン・ビークとの最終決戦で頂点を迎えます。死の寸前に追い込まれたサムスは、ついに体の制御を失います。メトロイドのDNAが完全に主導権を握り、カフカの『変身』を思わせる変貌によって、緑色の怪物のようなスーツをまとう姿になります。金属製の宇宙服がDNAでどう変わるのかは筆者にも分からないそうですが、比喩としては効果的だと評価しています。

この場面は、サムスが究極の力を解放してレイヴン・ビークを倒す、痛快な見せ場として作られたのだろうと筆者は推測しています。それでも筆者にとっては、今でも忘れられない恐ろしい場面です。サムスが最も恐れていたことが現実になり、絶滅に追いやった存在そのものになってしまうからです。戦闘中のサムスは自分の体を制御できているのか、それとも動物的な本能で動いているのか。過去に飲み込まれていく物語として見るほど、メトロイドスーツは超常の力というより呪いに見えてくるといいます。ゲームの終盤でサムスが元の姿に戻っても、彼女は追われる身として宇宙へ飛び立っていきます。

来年の続編 Metroid Ravenous への期待

筆者は、来年登場する続編 Metroid Ravenous の行方にも強い関心を寄せています。最初のトレーラーからは、開発元のMercurySteamが『ドレッド』のテーマをさらに押し進めているように見えるそうです。サムスは純粋な動物的状態にまで追い込まれているようで、ここでも物語を語るのは腕です。敵から生命力を吸い取る本能が勝り、いまや生き延びるために欠かせないゲームの仕組みになっています。メトロイドスーツの姿も少し映っており、今回はより大きな役割を担いそうだと筆者は見ています。

これは、筆者たちが知るサムスがいなくなってしまった不穏な兆候なのでしょうか。それとも、人類に不当に虐殺された種族の力を、サムスが受け入れたということなのでしょうか。筆者は、慎重に扱われれば Metroid Ravenous はサムスとメトロイド族の長く複雑な関係に、刺激的な新しい一面を加えるはずだと期待しています。