ソードアート・オンライン ラストリコレクションの本編をクリアしたので感想。ネタバレ無しです。そもそも5章以降のネタバレ禁止なので触れません。
評価にかんしては非常に難しいなと思います。というのも従来シリーズをプレイしてきた自分、アニメを見た自分、ゲーマーとしての自分でかなり評価が変わると思うからです。
簡単評価
同シリーズをプレイしてきた人がゲーム終了を見届けるファンゲーム
本作ラスコレから新規で遊ぶゲームではありません。同シリーズは下記の様なゲームが販売されています。
インフィニティ・モーメント | 原作アインクラッドが舞台。ヒースクリフを倒してもログアウトできず、76層からのオリジナルストーリーで100層を目指す。 ちょいIF オリジナル追加 |
ホロウ・フラグメント | 原作アインクラッドが舞台。上記ゲームに追加で《ホロウ・エリア》を探索する。 ちょいIF オリジナル追加 |
ホロウ・リアリゼーション | 原作アインクラッドをログアウト後。オリジンと呼ばれる独自のゲームが舞台 ちょいIF 完全オリジナル |
アリシゼーション リコリス | 原作アンダーワールドの前半。整合騎士を倒していきアドミニストレータを討伐するアニメ基準のストーリー。 ちょいIF |
新作ラスト リコレクション | 原作アンダーワールドの最終負荷実験のある《War of Underworld》編が舞台。ユージオは生存しており、キリトも廃人になっていない。 ほぼ完全オリジナル |
TPSのフェイタルバレットのキャラクターも加入するので少し絡んできますが物語の核とは一切関係ないです。
上記全てのゲームをやった人はそれほどいないかもしれません。ホロリアからなら結構な人がいると思います。そういった人はとりあえずプレイして本編をクリアすることで「シリーズが完結したんだなぁ」というノスタルジーを感じます。
ラスコレをプレイするに当たって2つ条件があります。その一つが過去作をプレイしていること。もう一つは原作(アニメも)を知っていること。その2つが該当しない場合は買うべきゲームではありません。
過去作をプレイしていなくても原作を知っていれば世界観は分かるので本作をプレイしても問題ないですがクリア後の感想に違いが出てくると思います。
本作のストーリーは非常に短いに関わらず世界観や背景などはゴッソリ削られています。多少あるとしても紙芝居のダイジェスト風アニメーションです。そのため原作を知っていない場合は意味の分からない状況が続きます。
旧作をプレイしている人は是非クリアしてSAOゲームの一旦の終わりを見届けましょう。
目次
感想
今作のメインヒロインはドロシーと言う名の暗黒騎士側のキャラクターになります。性格が温和でSAOシリーズ最もヒロインらしいヒロインと言うか癖がないと言うか。キャラクターとしては非常に好ましく今後もドロシーがメインヒロインで良いんじゃないかと思うくらいには好きです。
本作のストーリーはこのドロシーを軸に展開します。ドロシーのための物語ですね。SAO原作側の要素は薄いというか…ハッキリ言えば端折っています。メインの話も「◯◯しなければ先に進めない」といったゲーム内セリフを除くと物語としての内容は相当短いという印象です。ドロシー関連の大筋の物語を章で分断してちょっとずつ添えている感じ。
従来シリーズプレイヤーなら分かると思いますが今作はキャラクター同志の掛け合いがかなり希薄です。仲間は通知でチラッと増えた事をアナウンスされるだけで特に会話も無く街を闊歩しています。かと思えば意外とユナとエイジにセリフがあったり…。友好度を増やすことで専用のキャラクターエピソードが発生するのでそちらで楽しんでと割り切っているのかもしれません。
メインストーリーのボリューム
ゲームクリア時間は30時間越えはかかると思います。しかしメインストーリーと言えるような内容はかなりボリューム不足です。ゲーム1本が小説1冊とすればメインストーリーは1章分くらいしかありません。
ゲーム本体の容量も劇的に少ないです。主に音声が容量を取るのだと思いますが、実際声優さんが喋るセリフの量もめちゃくちゃ少なくなっています。
メインストーリーの内容
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の著者である暁 佳奈さんが担当されています。…本当だろうか????
どこまで担当しているでしょう。プロットを考えただけで、それを薄く引き伸ばしたようにしか感じません。制作の関係で色々カットになっているかもしれませんがドロシーの過去の話とかもっと深掘りして感情移入できたと思うんですよね。
原作知っていることが前提の物語
ドロシーが関わらないシーンはかなりダイジェスト的な語りで済ませているので原作知識がないと意味がわからない場面が多いと思います。ドロシーの話だけに集中すれば良いというわけにはいかず、物語の大半は原作の設定が関わります。
そのため原作を知らない人にはオススメできないゲームになっています。前作であるSAOALはやらなくても原作さえ知っていれば分かると思います。
調整されたバトルシステム
バトル自体は前作アリリコ系統を引き継いでいます。大きく異なるのは仲間の行動がわかりやすくしっかり機能するようになった点。そして戦闘バランスが変更されています。
本作は敵が固くなった代わりに誰でも強敵を倒せるバランスです。いい装備を揃えるほど早く倒せる様になっていきます。これは個人的には好きな調整なのでバトルに不満はあまりないです。ただこれまでのコネクト連発や瞬間火力によるスッキリ爽快感は皆無です。
演出がチープ
もっとやりようがあったのでは?と思うようなシーンがかなり多いです。いい感じの展開になってセリフにも熱が入っているのにキャラクターは呼吸の揺れだけとか。基本的にキャラクターがドンと画面に写っているだけなので環境を生かした演出が皆無です。
ドロシーが活躍するシーンくらい力入れてほしかった…。あとエンディング。エンディング感がない…。スッと終わった。
※最後に感動したという声がありますが、それはED後のテロップやプロローグですね。
点数付けるなら
60点
(SAOじゃなかったら45点)
何と言い表せばいいのか言葉に悩むのですが、自分の中でしっくり来るのが「作り方のメソッドがおかしい」ということ。今作はアクリアという制作会社が作っているのですが従来発売されたアクリア制のゲーム全て共通して同じ不満を抱きます。
謎の慣性が効いて操作しにくい挙動があったのですが、それは開発エンジンがアンリアルになることで解消されたようです。その他に読み込みスピードが改善されているなど改善点も多くはありますが…。根本的にゲームとしておかしい部分が多々あります。
単純に不満を並べるなら
- 探索中にイベントがあると別の場所にワープしている
- 新しいマップに入ったら中途半端な位置から開始される
- ショップ等に話しかけるのが困難なことが多い
- 用語が統一されていない
- 脈絡なく武技解放のマップに侵入する。というか色々な機能が後に分割で追加される
- 近づいたオブジェクトは消える仕様なので見ずらい
- 重要なアイテムがマップ上に落ちているが近づかないと視認できない
- マップ上で唐突にキャラがテロップで喋る事があるがイベント表示でテキストが見えない。構わず会話が流れ続ける
- NPCと会話する際に何故かカメラが強制的にキャラの背中ドアップになる。NPCが動いているが見えない
- タクティカルアーツは8章から分岐可能だが初期設定では分岐できないようにオプションで制限されている
- 無駄に古文チックな語り口があって頭に入りにくい
- 通常宝箱を開ける意味がほぼ無い
- ショップで装備を買う理由が無い。ストーリー進める上では一切買わなくてもいい。それがわかっているからか品揃えがずっと変わらない
- チュートリアルが最終マップ辺りまで分割されて置かれている
- 石像修練やチュートリアルにてスキルを使用する必要があるが、メニューが開けないのでどれを使えば良いのか確認できない
- 説明の無いパラメーターが始めからある。何とクリア後に説明される
- 常用モーションが旧作と同じ動きしている(えいえいおーとか)
- 同一エリア内で何度も「先に進むのか?」と聞いてくる
- 特に意味のないキャラクターの一時離脱がある
- 他プレイヤーのアバターに仲間指示すると硬直
- ステップと防御の意味がない
- 敵がダウンすると通常攻撃でカットイン付きの必殺が発動になるので攻撃できない
- 常用するのに奥義を発動するとカメラアングルを強制的に動かして演出が入る
- スキップ不可で長時間かかるシーンが再生されるため使いたくないスキルアライド
- ギミック要素の刻印が意味なくコスト制。使っても何発動したかわからない。なぜその刻印なのか関連性がない事がある。そもそも何も楽しくなく不快でしかない
- ギミック全般不親切、謎解きが難しいわけではなく整合性がないので理解しにくい
- ファストトラベル制限がある場所の理由がよくわからない。セーブすらできない場合がある(なぜ置いた?)
- ラスダンが一番手抜き。前作で見たような関連性の無いオブジェ
- イベントシーンがPS2レベル。いっそキャライラストだけの紙芝居で良い
- 恒例の石像の存在が意味不明
- 装備ステータスのDEXとAGI表示箇所が左と右で安定しない
- NPCキャラのスタイル設定がいい感じに駄目。ちょっと考えればキャラと全然合っていない。使いやすさも駄目なのでわざと火力でない制限にしている
- 雑魚が何も落とさないので地味な経験値稼ぎ以外で無用の産物(スキルポイント稀に落とすけど…)
- お金稼ぎが何度も入手できる装備を売るくらいしか無い。そもそもお金を使う機会が料理しかないが…
- キャラがソードスキルを発動している最中にイベントやファストトラベルなどの読み込みが行われる場合は行動終了まで暗転画面で待機させられる
- 通常プレイだけではとてもじゃないが入手スキルポイントが少なすぎて全てのスキルを開放できない。レベルカンストしてもとても足りない
物語の大きさ、マップボリューム、イベントシーン、ゲーム基本システムそれぞれが噛み合っていない印象です。恐れず言えば壮大さと開発技術力が合っていない。声の収録も少ないことから予算も少ないんだろうなぁと勘ぐります。
ただバトルシステムは将来性を感じる
今作のバトルの肝はタクティカルアーツと呼ばれるシステムになります。NPCの行動をある程度制御できるものなのですが組み合わせで色々できるので考えるのが楽しいです。これが発展してもっと扱いやすく慣ればかなり楽しいものになると思います。
まあFF12がやってたんですけど…。あっちはただのRPG。アクションRPGで行動チップのセットするものは少ないと思うので、タクティカルアーツを実装した別ゲーはやってみたいですね。
最後に
たしか前作アリリコが出る時にダークテリトリーとの大戦も含めるようなことを生放送で言っていたんですよね。で、アリリコが発売される前に発売された『グランクレスト戦記』を叩き台にしていると。各個パーティへ指示を出してシミュレーション的な戦いを想定していたのですが、いざアリリコが発売されると門を越えないところで終わるという…。DLCに期待していたのですがいつまでも配信されず返金できる状態までなってしまいました。ここで見限った人が沢山いたでしょうね。
ラスコレはもしかしたら本来アリリコ内に含められる内容だった…それはわかりませんが、アリリコで評価がガクッと落ちたのは痛手だったと思います。ラスコレは世界累計10万本売れるの厳しくない?というくらい売れていませんね。Steamだと同接500人くらいです。同じくSteamでフェイタルバレットとアリリコが200〜300人なのでかなり厳しい…。
口コミで購入者が増えれば良いのですが本編と言える5章から配信禁止になっています。ゲーム配信の良し悪しは置いておいて、公式が禁止と言うと大抵のユーザーはネタバレを強めに控えます。中にはパトロール的な事をし始める人も出てきますね。こうなるとSNSですら話題にすることが渋られて誰も話題にしなくなり口コミで購入者が増えるどころか忘れられていきます。配信禁止にしてしまったのは正直握手だなぁと思いますね。ネタバレして困るような内容でも無いですし…。歌が流れるからというだけで禁止にした???
ホロウ・リアリゼーションから発売されたSAOゲームは全て遊んできましたが最後にこれかぁ…というのが正直な感想です。
ムダウチ
フェイタルバレット2はまだかい?アニメGGO2期に合わせて発表されないかな。発売サイクル的にちょうど良いよね!
気合い入れて作ったらめっちゃ売れると思う!